「ひとり親控除」という言葉は、前から知っていました。
離婚を考えはじめた頃に調べて、そういう控除があるらしい、とは分かっていました。
ただ、それを年末調整でやるものだとは、知りませんでした。
役所の窓口で何か申請するのだろう、くらいに思っていて、具体的に「いつ」「どこに」「何を」出すのかは、考えたことがありませんでした。
今年の秋、職場から年末調整の紙が配られます。私にとっては、離婚してから初めての年末調整です。
調べたので、書いておきます。
ひとり親控除は、職場に出す紙1枚です
正確に言うと、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のC欄にチェックを1つ入れるだけです。
C欄は「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」という欄です。そこに「ひとり親」という項目があります。
役所に行く必要はありません。追加の書類も、基本的には要りません。
会社員なら、これで終わりです。
いくら戻るのか
令和8年分(今年)の控除額です。
| 所得税 | 35万円 |
| 住民税 | 30万円 |
「35万円もらえる」ではありません。税金の計算のときに、所得から35万円を引いてくれるという意味です。
実際に手元に残る額は、その人の税率によって変わります。所得税の税率が5%の人なら約1万7千円、10%の人なら約3万5千円。住民税のぶんが、これに約3万円加わります。
大きくはないかもしれません。ですが、紙にチェックを1つ入れるだけで、毎年続きます。
要件は3つです
- 婚姻をしていないこと(事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいないこと)
- 生計を一にする子がいて、その子の総所得金額等が62万円以下であること
- 本人の合計所得金額が500万円以下であること
男女は関係ありません。父でも母でも同じです。死別でも離婚でも未婚でも同じです。
かつては父親だけ条件が厳しかったのですが、令和2年分から一本化されました。
3つ目の「合計所得金額500万円以下」は、年収のことではありません。
給与だけで暮らしている人の場合、給与所得控除を引いたあとの金額です。令和8年分で計算すると、年収でおよそ678万円が境目になります。
そして、自分の合計所得金額を正確に言える人は、あまりいないと思います。私も言えません。源泉徴収票を見ないと分かりません。
紙が配られたら、まずそこを確認するところからです。
ひとり親控除の額は35万円です。(中略)その年の12月31日の現況で、ひとり親に該当する必要があります。
今年、数字が2つ動いています
ここが、古い記事を読むと間違えるところです。
① 子の所得の上限
「生計を一にする子」の総所得金額等の上限が、2年続けて上がっています。
| 年分 | 子の総所得金額等 |
|---|---|
| 令和6年分まで | 48万円以下 |
| 令和7年分 | 58万円以下 |
| 令和8年分(今年) | 62万円以下 |
アルバイトをしている子がいる家庭では、ここで外れるかどうかが変わります。給与だけなら年収127万円くらいまでが目安です。
ネットにある解説記事の多くは、まだ「48万円」のまま止まっています。
② 来年、控除額が上がります
令和9年分から、控除額そのものが上がります。
| 令和8年分(今年) | 令和9年分から | |
|---|---|---|
| 所得税 | 35万円 | 38万円 |
| 住民税 | 30万円 | 33万円(令和10年度から) |
今年は35万円。来年から38万円です。
共働きだった人ほど、気づかないと思います
ここが、私がいちばん書いておきたかったところです。
我が家は共働きで、配偶者を扶養に入れていませんでした。
つまり、扶養控除等申告書の配偶者の欄は、離婚する前から空欄でした。
離婚しても、その欄は空欄のままです。見た目が、何も変わりません。
しかも、今年ぶんの申告書を出したのは去年の年末です。そのときはまだ、離婚は成立していませんでした。
それでも配偶者の欄は空欄だったので、成立したあとに「直さなければ」と思う場面が、一度も来ませんでした。
だから「去年と同じでいいか」と思って、そのまま出してしまいます。
変わるのはC欄だけです。そこだけが、去年と違います。
配偶者を扶養に入れていた人は、扶養から外す作業が発生するので、いやでも気づきます。気づかないのは、むしろ共働きだった側です。
ちなみに私は、職場から「変更はありませんか」と聞かれたことはありません。誰も教えてくれません。
16歳未満の子は、下の欄に書きます
もうひとつ、まぎらわしいところです。
16歳未満の子は、所得税の扶養控除の対象になりません(児童手当があるためです)。
ですが、申告書のいちばん下の「住民税に関する事項」には書きます。
ここに書いた人数は、住民税が非課税になるかどうかの判定に使われます。そして住民税が非課税かどうかは、ひとり親のいろいろな制度の入口になっています。
児童扶養手当の記事でも書きましたが、ひとつ外れると、他も連鎖します。
所得税で使わないからといって、空欄にしないでください。
「12月31日の現況」で決まります
これは、いま調停中の方に向けた話です。
ひとり親控除が使えるかどうかは、その年の12月31日時点で決まります。
年内に離婚が成立していれば、その年から見ることになります。年が明けてからの成立なら、その年は関係ありません。1日違いでも変わります。
私の離婚が成立したのは今年の1月でした。去年は、この欄を見る必要すらありませんでした。
急いで年内に成立させろ、という話ではありません。調停は相手のあることなので、そう都合よく動きません。
ただ、年をまたぐかどうかで1年分変わるということは、知っておいて損はないと思います。
ひとつだけ、注意点があります
C欄にチェックを入れた紙は、経理に回ります。
つまり、言わなくても伝わります。
職場にまだ離婚を言っていない方にとっては、ここが関門になると思います。
方法としては、年末調整では出さずに、自分で確定申告をするという選択肢があります。控除の内容は同じです。
ただし、住民税の額は職場に通知されます。控除が入れば額が変わるので、完全に伏せられるわけではありません。そこは正直に書いておきます。
このあたりは、また別に書きます。
出し忘れても、あとから取り返せます
もし今年の年末調整で書き忘れても、確定申告をすればその年のぶんは適用されます。
さらに、過去に忘れていた年があっても、5年前までさかのぼって還付申告ができます。
確認の仕方は簡単で、源泉徴収票の「ひとり親」の欄に○が付いているかを見ます。付いていなければ、その年は適用されていません。
離婚してから何年か経っている方は、一度、手元の源泉徴収票を見てみてください。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
私が今年、最初にやること
紙が配られたら、まず源泉徴収票を出して、自分の合計所得金額を確認します。
次にC欄を見ます。
やることは、それだけです。
制度を知っていても、出す場所を知らなければ、使えていないのと同じです。
児童扶養手当のように、窓口まで行かないと分からない制度もあります。
ですがこの控除は、年末調整の紙の上にあります。窓口に出向く必要も、平日に休む必要もありません。
一度覚えてしまえば、毎年続きます。
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